MINAMATA

今、上映中の「MINAMATA」を福岡中洲大洋で見てきました。
もちろん、水俣病についての映画。
ユージン・スミスというアメリカのカメラマンを中心に1970年代の水俣で何が行われていたのかを映し出していた。

小学校の時、教科書にこんなことが熊本で発生していたんだなと、怖いイメージを持った。
その後、25年程前に、シンガーソングライター鶴G こと、鶴崎さんの主催するイベントではじめて水俣にいって、ライブをしました。鶴崎さんは、その当時、水俣の運動にも参加されていて、気に入ったバンドをそのイベントで紹介してくれた。この時は、風太郎&ダダチャイルド、ヒューバーツ、そして、ムーン・ビームだった。現地会場は、とてもいい天気だったけれど、やはり、なにかちがう空気感を感じたのを覚えている。
また、その後に、藤原新也氏の本「黄泉の犬」という本と出会う。
同氏の本は、「メメントリー」が初めてで、その影響もあり、インドへ旅することになる。「黄泉の犬」は、オーム真理教の麻原彰晃の兄とのストーリー。八代に実家があり、もしかすると、麻原は、水俣病と大きく関わっていたのではないかという推測が書かれている内容だった。
そして、この映画だ。
ジョニーデップ演じるユージン・スミスを中心に水俣で行われていることを写真に撮り、世界へ発信しようというストーリー。
脚色はされているだろうが、大げさな演出もなく、淡々とその当時の水俣での生活、運動、それぞれの思いが表現され、人間社会の理不尽さと、そこで生きる人々の苦悩に満ちた「美」が、相対し、映し出されていた。
「多くの人々の喜びには、少ない人々の苦しみは仕様がない」という、資本主義社会の持つ特有の価値観を、この映画は、一人の人間として、親として、子として、世界中に問う、ている。
音楽は、坂本龍一氏。バックミュージックにボブディランの「フォエバー ヤング」が使われている。
静けさと狂気、怒りとため息、闘いと世間、苦しみの中の愛、光と影が交差してモノクローム写真が、全世界に訴えていた。

世界の不条理が、理不尽な世界が、夜明けを迎えるまで、
僕らは、負け続けても、意思を持ち続け、歌い続ける。